HITO to KI to HITOTOKI
 
 

HITO to KI to HITOTOKI

クライアントImayo Tsukasa Sake Brewery Co. Ltd.
デザイン会社:BULLET Inc.
アートディレクター:小玉 文
デザイナー:小玉 文、山崎良弥
国:日本

 

木樽で酒を造る伝統は、日本の酒文化の中でも特に優れた文化です。しかし、この大きな木樽を製造できる会社は日本に一社しか残っていません。伝統を継承する後継者の確保に苦心し、酒造りの現場から木樽は急速に姿を消しつつあります。今代司酒造では、100年先まで木樽酒造りの文化を継承していくために、職人に依頼して4,000リットル級の木樽を製作し、蔵の従業員も積極的に参加しています。

その樽で醸されたお酒は、「人・木・瞬間」を意味する「ひと と き と ひととき」と名付けられました。このお酒を造るための全て情熱がこのラベルには注がれています。

ラベルのデザインは、蔵の従業員が心を込めて注いだ杉樽の木目模様の一部を描いていいます。ラベルには、加熱型押しした部分が透明になる「パチカ」という特殊な紙を使用し、2段階の圧力を加えることで、木目調の模様に奥行き感を持たせました。柄の色を白にしたのは、ラベルをただ目立たせるためではなく、一層優雅に引き立てるためです。また、ラベルの縁には商品名を記載し、さりげない印象を与えています。このように、商品情報を読んで視界を通じて理解するのではなく、実際に手に取って感じていただきたいという思いが込められています。

この酒は実際に購入して飲んでみないと本質を感じられない。それは、樽酒文化の継承の大切さが、頭で考える理屈ではなく、体験で感じでほしいからです。木樽で醸された日本酒は、木目模様の半透明部分から透けて見える淡い黄色をしており、裏から見ると液体からかすかに透けて見えるラベルがまた面白くなっています。魅力的なラベルデザインは、まさに見ている人の物欲までもを掻き立たせます。このデザインアプローチは様々なメディアでも紹介されており、「木の柄で木樽酒を表現した」というコンセプトは、多くの人に魅力的な印象を与えています。