Recycling Meets Design 展

東京都新宿区市谷田町1-14-1 DNP市谷田町ビル
2022.7.27-2022.10.1

 

Photo: ©2022 小室和宏(株式会社メディア・アート)

 
 

トップアワードアジアは、パッケージアワードを実施するにあたり、日本には多くのプラスチックがパッケージに使用されていることを日々実感しています。それはパッケージとしての役目を終えると行き場を無くし「ゴミ」として区分されてしまいます。そこで、私たちにもできることはないかと考え、トップアワードアジアは、2020年より大日本印刷株式会社(以下:DNP)が実施している、プラスチックパッケージのリサイクル促進を目的としたデザイナーとの共創プロジェクト「Recycling Meets Design® Project」をサポートしています。

ネガティブなイメージが多い再生プラスチックですが、本プロジェクトが扱うポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)は熱可塑性樹脂であることからブロック状やシート状など自由自在に成形可能であり、仕上がりの色も非常に魅力的です。本展示では、プロジェクトメンバーのコラボレーションによる18点のアイディア展示の他、回収されたプラスチックが再生プラスチックになるまでの過程の説明や、実際の素材サンプルなども展示しています。

 
 

MaiLoop

MaiLoop(メイループ)は、繰り返し利用可能な配送用パッケージです。再生プラスチックにリサイクルゴムを混ぜて作った柔らかなシート状の素材から作られています。このパッケージを用いた「あたらしい配送システム」では、紙の伝票ではなく電子伝票を使うことで、アプリやwebサイトから簡単に荷物の登録と発送手配ができます。配送後は受取人がパッケージをポストに投函するなどして返却し、管理拠点でクリーンにされたパッケージは、郵便局やコンビニの店頭窓口で再配布され、繰り返し何度も使用されます。

株式会社BULLET:小玉 文
大日本印刷株式会社:鈴木 英怜那


RETTER

使ったらすぐに捨ててしまうホテルアメニティ、もったいないと感じたことはありませんか?​RETTER(リター)は、ホテルの宿泊者が組み立てて使うホテルアメニティです。​同じ製品を何度も使いまわすことが難しいホテルアメニティ。環境負荷が低い素材で、無駄が少ないデザインを考えました。使い終わったら、宿泊者がホテルのフロントに備え付けのシュレッダーで粉砕したあと、同じアメニティとして再生します。リサイクル工程の一部を体験することで、普段はブラックボックス化するプラスチックの再生プロセスを楽しく知ることができます。

株式会社 GKダイナミックス :梶田 岳
株式会社 GKダイナミックス :菱木 啓之
大日本印刷株式会社:鈴木 英怜那


REPLAY RECORDS

「REPLAY RECORDS」 は、再生プラスチックでアナログレコードを制作するプロジェクトです。次世代の素材である再生プラスチックに音楽という新しい価値を見出すことで、塩化ビニルの消費をおさえると同時に、音楽からゴミという概念がなくなる未来と仕組みを構想しました。展示しているのは、第1期の発表にあたって制作したモック盤。再生プラスチックをレコードサイズに切り取り、カッティングを行いました。結果、ゆがみや粒子のムラが残っているため、ノイズが乗った状態となりましたが、平滑性が追求できればより明瞭な音が再生されるはずです。

株式会社日本デザインセンター :梶原 恵
株式会社日本デザインセンター:深澤 冠
株式会社日本デザインセンター:星野 旭毅
株式会社日本デザインセンター :松永 遥
株式会社日本デザインセンター :横田 泰斗


BODY RUG

スポーツスタジアムでのゴミ問題。特に冬の競技・ラグビー観戦においては「シートクッション」が使い捨てされているという点が、着想のきっかけです。「アスリートへの愛着」と「シートクッション」を掛け合わせ、ポイ捨てを防ぎながら、再生プラの理解促進を図りたい。その想いから、アスリートの身体を3Dスキャンし、筋肉の上に座るような特別な体験のできるBODYRUGを開発しました。不純物を含む再生プラは、有機的な表情をしているのが大きな魅力です。BODYRUGは、再生プラを使うからこそ、人間の身体という極めて有機的な素材をリアルに表現できると考えます。

TEAM FAIR PLAY:廣瀬 俊朗
TEAM FAIR PLAY:伊藤 亜実
TEAM FAIR PLAY:福井 佑介


Resight

リサイクルプラを暮らしの中に心地よく存在させるためのシステム「Resight / リサイト」。リサイクルプラ(PP,PE)の素材の色はグレイッシュなグリーン。それがリサイクルプラを日常の暮らしの中に存在しづらくさせている要因の1つです。でもそれはその色1色だけだから。リサイクルプラをブラウンカラーのリサイクル木材(間伐材)と組み合わせれば魅力的なツートーンカラーの様々なプロダクトとして生まれ変わるのです。Resightはリサイクル素材で日常の暮らしの中に新たな景色を作ります。

株式会社 COLOR.:シラス アキコ
株式会社 COLOR.:シラス ノリユキ
株式会社 COLOR.:サトウ トオル


Nest Net

私は「編む」という方法でこの課題に取り組みました。容器包装プラスチックの多くは「溶かした原料を型に流し込む」という方法でリサイクルされますが、細かい加工が難しく、目につかない場所で再利用されがちな存在です。その素材を、リサイクルのゴム素材に溶かして編むという方法で、繊細な印象の、今までにない活用方法が見出せるのではないかという提案をしました。また、「編む」ことにより、可変性のある、面白いプロダクトになりました。Nest=巣・心地よい場所。様々な動物の「巣」のようにぴったりと中のものを包み込み・守るプロダクトです。

株式会社 アンダーライン グラフィック:佐々木 晴美


義足カバー制作

この義足カバーは「ソーシャルマテリアルをソーシャルプロダクトに繋げる」そんなストーリーに則り、使用される方が問題となる部分を隠すのではなく、逆に見せたくなるような思いを込めてデザインしています。そんな気持ちの再生を、再生材で実現できればと考えました。更に義足カバーにかかる制作費用を協力企業との折半で賄う仕組みを考案しています。この仕組みにより、使用される方々の経済的な負担を軽減できると共に、企業ブランド向上に寄与できる可能性があります。「再生材で、人と社会の関係を再生したい」そんな思いでデザインしました。

資生堂クリエイティブ株式会社:金内 幸裕
大日本印刷株式会社:任田 進一


RNI

「家具」という概念を見直し、日常の暮らしを変える「生活材」を再生プラで作れたら面白そう。そのような思いから生まれたのが「RNI」です。「RNI」の大きなポイントは特定の用途を決めすぎないゆるさです。スツール、ローテーブルや物を収納する棚として使用することができます。「こう使ってほしい」というルールを排除し、ユーザーが自由にころころと回転して使ってくれることを想定しています。積み上げれば文庫本がフィットする棚ができあがり、A4用紙や雑誌などが収納できます。「家具ではなくあくまでも道具に近い生活材」を目指しました。

株式会社GTDI:板倉 真紅
株式会社GTDI:杉本 優弥


FRUCTUS

「買った時に必要だったものを、買った場所に還す」をテーマにあたらしいバスケット(カゴ)をデザインしました。現状バスケットの「腕で持つときに持ち手が細く、腕に食い込む」「たくさん商品が入ると持ちにくい」といった問題にアプローチしています。FRUCTUSは果物をイメージした柔らかいフォルムが特徴で、網5面をハニカム構造でつなげることで、軽量で強い構造を目指しました。またハンドルをジョイントさせることで面を作り、腕で持ったときに腕に馴染みやすいようデザインしています。ハンドル部の握りやすいグリップ形状もポイントです。

NECKTIE design office : 千星 健夫


TOP DROP

2種のデザインを考えました。
❶:再生プラ単体のハードな帽子。もちろんプラなので形は自由自在。ファッションとしての楽しさもあり、肩も体も濡れない!汚れたら水で洗えるのも利点。
❷:ゴムを混ぜ、柔らかく畳める帽子に仕立てたもの。普段はカバンに入れて雨が降ったら被る。素材も1つなので廃棄も簡単!
どちらの案も両手が使えるというのが利点。発想は昔の日本の蓑笠。会期中に作品が入れ替わります。8/27頃まではハードな帽子。8/28頃からはソフト帽子。是非お楽しみください。

Peter Schmidt Group:川村 未来
有限会社 小川裕子デザイン:小川 裕子


hug-olive

hug-oliveは、ばたばたとした日常の中に、ほっと落ち着ける休憩を叶える、リサイクルプラスチックを活用したパーソナル空間の提案です。忙しい日常の中でも、少しだけ目の前の事柄から離れて、心地よく頭を休められるような空間を当素材で作れないだろうか。そこで制作したのが、オリーブのような形をした、中に入るとゆりかごのように優しく揺れる空間です。重心を前におく事により、人が入る前は少し前方向に起き上がる構造をしています。揺動刺激によるリラックス効果、内部の反響音と光の制限により、ミニマルに非日常を体験出来ます。

株式会社 アンダーライン グラフィック:佐々木 晴美
資生堂クリエイティブ株式会社:廣川 まりあ
株式会社 GKダイナミックス:中野 太久二


WRAP RE WRAP

世界中で日々消費され続ける包装材。使用期間の短いワンウェイプラスチックは今後は自然に還る時間も短く設計する必要があり、一方で既に作り続けてきた包装材は膨大な量をラストロングのアイテムへと昇華すべきという考えに至り、今回は人の生活に近い存在で永続的な使用が求められる内装材(システム天井材)を提案した。既存のシステム天井が持つ施工の効率性や安全性を担保しつつも、再生プラスチック(PP/PE)の色や素材が持つ質感の魅力を生かすため、「木陰」や「雲」をモチーフとし柔らかな風合いの天井下で過ごす心地良さを探求した。

STUDIO BYCOLOR Inc.:秋山 かおり


リビングヒンジ・モジュール

リビングヒンジ・モジュールは廃プラスチックの平板にパターン状の立体スリット加工を施すことで、柔軟に曲げることができるモジュールです。柔らかいイメージによって、すこし扱いにくい廃プラスチックのイメージを変えるような提案をしたいと考えました。今回はこのモジュールを活用し、「家具」から「土木」までスケールを横断して様々な場面に展開させることを想定しています。具体的には、クッション性のあるスツール、不陸のある山道の舗装、音を吸収し光を透過するパーティションといった多用途への展開をイメージしました。

株式会社GK設計:淺田 英紀
株式会社GK設計:加藤 完治
株式会社GK設計:藤原 芳博


想いを繋ぐデザイン

大切な人から受け継いだジュエリーを自分用にアップサイクルするブランドサービスの提案。リサイクルプラスティックの質感をそのまま活かし、再び役目を与える。そうやってジュエリーだけでなく、土台も人の生活を受け継いでいくようなアウトプットになっています。リサイクルプラスティックは一つ一つ品質にばらつきがあるので、出来上がりの表情の違いも楽しんでいただきたいです。

Peter Schmidt Group : 川村 未来


廃盆

朽ち果てた廃墟と生命力あふれる植物との対比を愛でたり、雑草に冒される様子や、植物が枯れてしまった景色までもが楽しめる「廃墟盆栽」略して「廃盆」。再生プラスチックの色合いや質感が朽ちていく廃墟の表現にマッチするのでは?ということで考え出されました。リサイクルの回数を重ねたものほど「朽ちた」表現として味わい深くなることも特徴です。廃墟鑑賞と盆栽の魅力を掛け合わせた「廃盆」はそれらの楽しみを倍増させ、新しいホビーの誕生を予感させます。朽ちた建築、植物の躍動、アニメや映画で見た「萌える」風景を気軽に再現することが可能です。

有限会社ザリガニワークス:武笠 太郎
有限会社ザリガニワークス:坂本 嘉種
株式会社 GKダイナミックス:三富 貴峰
大日本印刷株式会社:籠谷 隆


PPPE

PP/PEの「折り曲げに耐える特性」を活かし、構造的な強さと伸縮する柔軟性を兼ね備えた「ランタン」の提案です。「なまこ折り」という折りの技法を使うことで、用途によって形状を変化させ光の量を調節したり、床に拡散する光を楽しむことができます。内部にLEDユニットとシリンジ(注射器の筒)の組み込みを想定しており、形状を固定することが可能です。再生樹脂を活用し、屋内外で気兼ねなく利用できるアイテムを目指しました。ランタンはひとつのアイデアですが、折りという技法を加えることで再生材の可能性はもっと広がると考えています。

株式会社GKグラフィックス:真野 元成


P Leaf

「プリーフ」は簡単に商品を梱包、発送でき、そのまま再生サイクルに乗せることができるラグジュアリー商品向けの循環型パッケージツールです。再生プラスチックシートを含むプラスチックのみで構成されており、水や汚れに強く、繰り返し使用が可能。使用後は分別することなくリサイクルすることができます。日本古来の天然素材で贈り物を包む手法から着想を得て葉っぱをモチーフにした形状となっています。2枚の葉の間に緩衝パーツが組み合わされており、簡単に商品を包み込むことができます。色・サイズ・形を変えることで様々な商品に対応できます。

資生堂クリエイティブ株式会社:塩田 笑子
グラフィックデザイナー:小林 麗


つなぐ

近年、自然災害の発生件数増加により、避難所整備の必要性が高くなっている。ストレス環境を少しでも快適にできないか、という課題に対し取り組んだ。備蓄ツールに求められる条件は、プライバシー確保、子供の学習・遊びに役立つ、家族スペース環境向上、かつ常時保管でスペースを取らないもの。今回デザインした「つなぐ」はユニットを繋げることでパーテーション、組み立てることで簡易椅子やテーブル、小型ゲル(円形テント)として活用可能。避難所での段ボールに代わるユーティリティーとして再生プラスティックのあり方を考案した。

大日本印刷株式会社:鶴田 崇義