生ヨーグルトのお酒 はごろも
生ヨーグルトのお酒 はごろも
クライアント:ミルク工房もりや・田中酒造店
デザイン会社:岩田デザイン事務所
アートディレクション/デザイン:岩田 和憲
国:日本
真っさらな土地から始まった酪農の歴史
茨城県の利根川流域。このあたりは戦後、満州から命からがら帰ってきた人たちが入植し、一から土地を開拓して酪農を始めた地域です。敗戦し帰国したけど母国に帰る場所がない。そんな彼らが住むことのできた土地、それが誰も住みたがらない河川敷でした。そこで人は一から土地を耕し、生活を作っていきました。
昭和21年9月、満州からの帰国者たちが佐世保港に上陸します。彼ら帰国者のうち、再び故国の土を踏むことができた人たちは半数以下だったといいます。その翌月、茨城県南部で、のちの大八洲(おおやしま)開拓農業協同組合を立ち上げる人たちが、利根川流域に入植して農業と酪農を始めました。台風での壊滅的な被害、全戸離農の危機を経験しながら、新天地で一から土地を作り、ようやく多額の負債を返済できたのは平成2年だったといいます。戦争が終わりすでに45年。「もはや戦後ではない」と政府が宣言したときから数えて36年です。
その組合がつくった牛乳加工施設が「ミルク工房もりや」です。彼らが、同じ茨城県にある創業400年の田中酒造店とコラボして作ったのが、この生ヨーグルトのリキュール「はごろも」です。ラベルから紐、掛け紙、掛け紙を外したときに現れるキャップシールまですべて白にデザインしました。生ヨーグルト酒が白というのもありますが、一から土地を耕し生活をつくること。そのまっさらな状態の「白」の美しさをデザインしています。
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